序三

「人類は紀元前から毒物に関して経験的に知識を持っていた。例えば紀元前400年頃、合理的医学術を世界に広めたヒポクラテス(Hipprocrates)は多くの毒薬について記述してぃる。特に、治療の目的、または過剩投与による毒物の吸收を制御することを試驗した。これは近代毒性学の原形である。ギリシャ人は処刑の方法一つとしてドクニソジンを使用し、口—マ人は毒を政治目的で暗殺に使った。実際,毒の分類を最初に考え出したのはネロ法廷におけるギリシャ人デオスコリデス Dioscoridesである。その後、毒に関する学問を系統的に開拓したのはParasersus(1493—1541)である。」彼、「すぺての生体異物は毒であり、毒でなぃものは存在しなぃ。毒物か薬物かを区別するのはその用量による。」“All substances are poisons;there is none which is not a poison.The right dose differentiates a poison from a remedy.”と述べてぃる。彼は医者であったが、同時に現代の毒理学、薬理学、治療学にも多くの功績を残してぃる。彼はそれまでの非科學的で単に伝統的、宗教上の理由で使用されてきた薬物に関する考え方に反対して独自の概念を提唱した。すなわち、薬物と毒物toxicon的は基本に同じもの考え方である。その主張は、(1)毒物、薬物の効果、毒性を知るためには実験することが必要である、(2)薬物の治療効果と毒性は明確に区別されるものではなぃ、(3)これらの性質は用量によって区別出来るものである、(4)種々の薬物の治療効果や毒性は、その特異性の程度確かめることが 重要である。

「近代毒性学の創始者としてはオルフイラOlfila(1787—1853)を挙げることが出来る。彼はスペイン人医師で、後でパリ大学で毒性学を独立した科学として確立した。国王のルイ18世の侍医として高い地位を占めた。オルフイラは数千匹の犬を使って毒物の影響を実験した。同じ頃マジアンヅーMagendie(1783—1855)は、原住民が用いてる“矢毒”に関心を持ち、ェメチンとストリキニーネの作用に関して研究した。その研究は後に彼の弟子であるクロードベルナールClaud Bernard(1813—1878)に受け継がれた。また、同じ頃に、ルイスレーウエソLouis Lewin(1854—1929)は、メチルアルコール、エチルアルコールの毒性や、阿片の慢性作用、植物性幻覚物質などの作用について研究した。これらの長い歴史の中で、毒性植物は薬として使用される様になったが、あくまでも毒性は殘っており、使い方により治療薬にもなり毒にもなった。」

毒性中薬は毒性の高い成分を含むものが多いので、その使用には十分な注意が必要である。もしそれが急性毒性を示さなくとも、慢性的使用において何らかの毒性が現れないとは限らない。したがって、目的に応じて用量と投与期間を適切に決めることが、毒性中薬が薬物として有効か、毒物として危険かを決める要因となる。

「日本では、漢方薬は一般に温和な薬理効果を示すことから、一部の人々は副作用が無いとの間違って伝えられている。広防己や関木通などの漢方薬に含まれるアリストロキア酸は腎臟に障害を与える疑いがあった。また、漢方薬と西洋薬の成分の相互作用も大変危険である。漢方薬であるビヤクシが、西洋薬の代謝に与える影響を調べた。その結果,ビヤクシの成分が西洋薬の代謝を阻害することにより血中濃度を大きく上昇させることがわかった。一方、漢方薬の使用は古代から現代に至るまで人間の生活に大きく関わってきた。日本における漢方薬の歴史を知るために、奈良の正倉院(しょうそういん)に保管されている薬物が調査された。それによると、かつて中国、韓国、シルクロ一ドを經て日本に入ってきた薬物の名前が記されている。その中で最後の六十番目のものが古代毒物 「冶葛(やかつ)」である。また、七世紀には、中国の唐で編纂された法律書 「唐律疏義」の中に殺人目的で使用し死刑に該当する毒物として冶葛、烏頭、附子の名前が挙げられている。烏頭、附子は今日でも、殺人の目的に使用されることもある位危険な毒物である。「冶葛」は木の根であって、原植物はアルカロイドを含む毒草である。ある種の植物成分は使い方によっては発癌性を示すものもある。例えぱ、ソテツの有效成分であるサイカシソCycasinである。急性毒性として、神経障害が知られており、慢性毒性では肝臟、腎臟、腸管などに腫瘍を発生することがある。また、キク科Senecio属の植物100種類以上にヤネシオアルカロイドガ含まれており、肝臟障害や、肝癌、肺癌などの腫瘍形成が知られている。」

一般に、薬物と毒物の有効性と毒性を考える場合、用量—反応(dose-response)または用量—効果(dose-effect)の概念が実用上極めて重要である。薬物の危険度の程度は、薬物への暴露時間と暴露量のかけ算で表される。すなわち、単回投与でもそれが高用量であれば何らかの急性毒性症状が現れる。逆に、低用量でも長期間の反復投与により慢性毒性が現れる。薬物の毒性が現れる場合にはその薬物が身体の特定の部位において毒性を示す程の高濃度が蓄積したときに現れる。ある薬物の場合は蓄積までに時間がかかる場合には症状が現れるまでに時間がかかることがある。したがって、有害反応が現れるか否かは、その薬物の化学的性質、物理的性質、暴露状態、個人の感受性などにより変動する。「副作用」の意味は使用目的以外のすべての作用のことをいう。つまり、薬理作用を示すのに必要な身体の部位以外の場所に薬物が大量に作用したときに目的以外の作用が現れる。これを副作用という。これに対して,毒性とは治療効果とは直接関係の無い作用であるが、場合によっては投与量が大量の場合は薬理作用が毒性に変わることもある。日本では、「諸刃(もろは)の劍(つるは)」という言語がある。普通の刀(剣)は片側にのみ刃がついているので普通に使うものを切るときは安全であるが、もし、刀の兩側に鋭利な刃がついているものでは、使い方によっては自分をも切ることもあり非常に危険なことになる、ことを意味している。つまり、普段は安全に使っているものでも、使い方を間違うと非常に危険になることであり、毒性中薬もその使い方次第では薬物にもなり毒物にもなる。

毒性中薬は現代中国の中で使用されている中薬の約15%を占あており、種々の病気の治療に大きく貢献している。今回再訂して出版する「毒性中薬の現代研究と臨床応用」は、この領域の專門家により毒性中薬に関する科学的知識をすべて網羅しており、今後の中国における中医学の発展に大いに役立つことが期待される。藥はときには毒になり、毒は使い方によっては薬になることを強調したい。

元国際毒理学連合会副主席,千葉大学名誉教授

佐藤哲男

2022年3月於日本

人类在公元前就具备了有关毒物的知识,早在公元前400多年,希波克拉底向世界推广合理的医术,记录了很多毒药。特别是他通过实验来控制治疗的目的和超剂量给药所引起的毒物吸收,这就是近代毒理学的原形。希腊人曾使用毒人参作为处决犯人的一种方法。罗马人也将毒物用于暗杀以达到某些政治目的。最早将毒物进行分类的是奈罗法庭的希腊人Dioscorides。在他之后Parasersus(1493—1541)系统地挖掘了有关“毒”的知识。他认为“凡是体外异物都有毒,无毒的物是不存在的,如何区别是药物还是毒物取决于它的用量(All substance are poisons:there is none which is not a poison.The right dose differentiates a poison from a remedy)。”他是一位医生,同时在现代毒理学、药理学和治疗学上有很多的贡献。他反对非科学地、单纯地以传统和宗教的观念使用药物的做法,独自提出了自己的概念。他认为:①必须进行实验才能了解毒物的毒性和药物的效果;②不能把药物的效果和毒性完全分割开来;③可以通过调节使用剂量来区分药物的效果和毒性;④确定有关各种药物的效果和毒性的特异性是很重要的。

近代毒理学的创始人应该推举Olfila(1787—1853)。他是西班牙的一位医生,在巴黎大学把毒理学确定为一门独立的学科。他曾是国王路易十八的御医,有过很高的地位。Olfila曾经使用过数千只犬做实验来研究毒物的作用。同时代的Magendie(1783—1855),曾对土著居民使用的“毒箭”产生兴趣,研究了吐根碱和番木鳖碱的毒性作用。后来他的弟子Claud Bernard(1813—1878)继续进行这方面的研究。同时代的 Louis Lewin(1854—1929)还研究了甲基乙醇和乙基乙醇的毒性作用、鸦片的慢性作用以及植物性致幻物质的作用。

在漫长的历史过程中,有毒植物渐渐地被用作药物。具有毒性的植物,因使用方法不同可以成为治疗药物,也可以成为毒物。有毒中药含有很多毒性很强的成分,毫无疑问在使用时应十分注意。即使没有急性毒性,也不能保证在长期使用时不出现慢性反应。有毒中药是作为药物发挥它的疗效呢,还是作为毒物给人体带来危险,其决定因素是根据用途正确选择用量和给药期间。

在日本有一种误传,认为中药的药理效果比较温和,所以中药没有毒副作用。在广防己和关木通等中草药里含有马兜铃酸,现在它被怀疑可引起肾衰竭。而且,中药和西药的相互作用也是危险的。

有报道,中药白芷对西药代谢的影响,发现白芷中的成分可以阻断西药的代谢,从而使西药的血药浓度增高。

古往今来,中药与人类的生活健康关系密切。通过查询保存在日本奈良的“正仓院”中的药物,可以了解日本的中药历史。“正仓院”里记载了从中国、韩国或经丝绸之路传入日本的药物的药名。排在最后,也是第60位的是古代的毒药“冶葛”。在7世纪的中国,也就是唐朝,有一部法律书籍叫《唐律疏议》,书中列举了用于死刑的几种毒物,如冶葛、乌头、附子。就是在今天,乌头和附子也是很危险的有毒药物。冶葛是树的根,原植物是含有生物碱的毒草。有的植物成分使用方法不同可以显示致癌性,例如苏铁的有效成分苏铁素(cycasin),可以引发急性毒性反应,导致神经障碍,也可以产生慢性毒性反应,导致肝脏、肾脏和肠道肿瘤的发生。在菊科的千里光属中有100种以上的植物含有千里光生物碱,这种成分可以引起肝功能损伤,形成肝癌或肺癌。

一般在考虑药物的有效和毒物的毒性时,剂量-反应(dose-response)或者是剂量-效应(dose-effect)的概念是极其重要的。药物的危险程度可由药物的暴露时间和暴露量的乘积来表示。也就是说,在单次给药时,如果是大剂量,那么就会出现急性症状。与此相反,在低剂量给药时,如果是长期反复给药,那么就会出现慢性反应。一种药物在身体的特定部位进行蓄积的话,其浓度达到可以产生毒性的高浓度时,就会出现这种药物引起的中毒症状。如果蓄积过程需要一段时间的话,那么到中毒症状产生也会有一段时间。毒性反应是否出现,是受这种药物的化学性质、物理性质、暴露的状态、个体的敏感性等诸因素所决定的。

所谓“副作用”是指针对于使用目的以外的所有作用而言的。药物会在身体的必要部位发挥药理作用,除此以外的部位出现的作用就是“副作用”了。毒性和治疗效果没有直接的关系。当给药量增大时,药理作用可以转变为毒性。

在日本有“双刃剑”这个词语。普通的刀(剑)只是单边开刃,切割时还比较安全,但是双边都开了锋利的刃以后,使用不当就会有伤到自己的危险。也就是说,一般情况下可以安全使用的东西,如果使用方法出现错误,就会成为很危险的东西。有毒中药根据使用方法不同,可以成为药物,也可以成为毒物。

在今天的中国,有毒中药约占中药总数的15%,为各种疾病的治疗作出了很大的贡献。期望这次修订版的专著《有毒中药现代研究与合理应用》,能够全面地汇总在这个领域里进行研究的专家们的有关有毒中药的科学知识,为中国的现代中医药学的发展作出贡献。

最后再强调一次:“药”有时可以是“毒”,而“毒”因使用方法不同也会变成“药”。

原国际毒理学联合会副主席,日本千叶大学名誉教授

佐藤哲男

(芮茗 翻译)

2022年3月于日本